家路
前線の矢面に立たされし兵士
死を覚悟した最前線
怯めば後ろから狙われる
狂気の世界に死線を彷徨う
大本営発表は噓で固めるしかない
連戦連勝をメディアは報じる
死者の総数は明かすことなく伏せられる
死傷者の正確な数は憶測の域を出ない
広い国土から動員された兵士たち
死傷者が出ても限定された地域の少数
戻ってくるのは屍と負傷兵
口封じされた前線の悲惨な状況
風聞はすぐに大地をかける
母たちの不安と焦燥感は増す
白いスカーフと赤いカーネーションを持つ
兵士の早期返還を求める抗議運動が始まった
「プーチ・ダモイ(家路)」
愛する子らよ
銃を捨て家路につきなさい
人殺しはもうたくださんだ
愛しい子らよ
早く家路につきなさい
身体も心もボロボロでしょう
かけがいのない子らよ
遠く離れても家路につきなさい
母の抱擁と料理で慰めてあげる
[2024年2月12日書き下ろし。遊び疲れた子らが落陽の中家路を急ぐ。見慣れた風景は戦争で一転する。運動は弾圧されてプロパガンダが制する]
※動員された兵士の早期帰還を求める妻らの抗議活動が10日、ロシア各地で開かれた。事前にロシアの検察当局が「無許可だ」と警告しており、再び記者や参加者が拘束された。ただ、デモの参加者は毎週のように増えており、警戒する当局からの圧力が一段と強まる懸念がある。運動を呼びかけているのは「プーチ・ダモイ」(家路)。モスクワでは同日正午過ぎ、赤の広場近くの「無名戦士の墓」に、運動のシンボルである白いスカーフなどを頭につけ、赤いカーネーションなどを持った女性らが集まった。(朝日新聞2024/02/12)