からっぽやみ
からっぽやみと
叱られた
役に立たない子と
叱られた
にわか雨が降ってきた
洗濯物を取り込まなかった
母は仕事から戻ってきた
濡れた洗濯物を見ていった
からっぽやみ
親は共働きしていた
留守のことは子どもがする
当たり前の暮らし方だった
子は遊びほうけて怠けた
からっぽやみの言葉が刺さった
65年も前の母の言葉がよみがえる
いまもからっぽやみと叱られるそうだ
なすべきことすら疎かにしてないか
なさねばならぬことを軽んじていないか
ことを先送りして誤魔化していないか
いいわけをして面倒を避けていないか
甘い考えでミスっても許されていないか
世の中の動きに置いてきぼりを喰った
人とのつながりも心模様も見ることがなくなった
役に立たなくなったことを自認する
役に立つこともなくなったことを追認する
役に立てなくなって安堵することを黙認する
からっぽやみとなっていくいまがある
ただひとつ学んだ
からっぽやみとは空っぽな闇
人生の深い洞察を含蓄する言葉だと
〔2024年12月14日書き下ろし。老いるというのはからっぽやみになっていくのか〕