お正月はいらない
母さんは今夜も遅い大晦日
いつもと変わらぬ大晦日
TVでは賑やかにはしゃぐ大晦日
何が面白いのかつまらない大晦日
母さん帰るまで待つしかない
ひとりぼっちの慣れた留守番
母さん疲れた顔して帰ってきた
ごめんと謝った
母さんお土産手にしてた
二人でささやかに大晦日した
母さん明日も出番だと寂しそうに言った
わかったって返事した
母さんにおめでとうって言った
母さんもおめでとうってお年玉くれた
ようやくお正月って嬉しかった
母さん行ってきますと出て行った
お年玉の袋をテーブルに置いた
なんだか悲しくなった
TVにしかお正月はなかった
母さん今日は早く帰るといいな
誰がこの母と子の寂しさを感じているのだろう
どこでこの母と子の切なさを見ているのだろう
母子が幸せになってほしいと願うしかない無力さを知る
〔2025年1月1日書き下ろし。華やぐ正月の風景に紛れ込む貧困。子どもの心の痛みを想像する〕