過去に思いなく
十数年会うこともなかった
突然連絡が来た
昨日来札した
食事をした
おしゃべりはいまだ健在だった
話題は過去しかなかった
過去に置き忘れてきたことを蒸し返す
想い出に執着するのは性に合わなかった
いまを語るにも心動かすことはなかった
同じことを繰り返すおしゃべりに心が引けた
酒を酌み交わしながら青春を語る相手を間違えた
冷めた頭がこれ以上の会話を拒んでいた
不毛な会話は1時間で終止符を打った
相手のおもいに応えられなかった
確かに礼は尽くせなかった
何がどうしたと言うわけではない
老いて知人との親交を求めたのかも知れない
過去の関わりを大事にするのを否定しない
ただこれからも関わり続けることは無理だと知った
時間は無常だと感じた
過去のなにがしかの熱きおもいに囚われることはない
過去のなにがしかの熱き運動に心馳せることもない
過去へのなにがしかの追憶に心寄せることはない
互いに生きる世界が違った
互いに求めるものが違った
互いに関わり方が違った
強く握手を交わして別れた
互いに今生の別れを意識した
〔2025年7月1日書き下ろし。こんな別れ方もあるんだと正直驚いた。社会活動をいまだ続けている素晴らしい方だが、十数年ぶりの再会に何をか語らんかと〕