言葉が沈黙を破るとき
日常の営みにある小さな仕合わせ
何気なく見過ごしていたエピソード
ふと気づいた瞬間ぬくもりを感じる
さりげなさに心の通い路ができる
穏やかさに誰かの背にもたれる
その風景から見える言葉が訪れる
気負うこともなく言葉がこぼれる
沈思する前に言葉が沈黙を破る
書く手に何の躊躇いも迷いもない
世の中のエポックに憤る
人間の欲望の果てに見る残忍さ
人間の権力の果てに見る残虐さ
人間の信仰の果てに見る残酷さ
その事実に言葉が鋭く尖る
命を奪い心を蝕む事態に言葉は容赦ない
恥辱を生起する言葉は辛辣さを強める
書く手は憤怒を抑制しつつ訴える
宇宙の一点に生を受けた存在
奇跡の人生を謳歌する言葉を詩に託す
沈黙する虐げられた人の声を詩に託す
喜びに歓喜する人のエネルギーを詩に託す
哀しみの淵に涙する人の悲哀を詩に託す
文字を読めぬ人の琴線に詩の力を蘇られる
言葉が降りてきた瞬間静寂が破られる
生きている証に詩文が綴られる
生きる情熱が詩文に刻まれる
生きていく感性が詩文を際立たせる
共に在ることの仕合わせが詩文を求める
沈黙する言葉はついに堰を切ってこぼれ出す
〔2025年11月1日書き下ろし。言葉にいまも心が強く動かされる〕