悲しみを越えて
悲痛な通告だった
なぜどうしてこうなるの
はてなが心を充たした
癌の検査は非情だった
罹患率は高い
いつか巣くっていた
年の割には元気だった
習慣病も薬で抑えた
便通に異変を感じた
長命だと信じていた
ポリープは良性を願っていた
苛酷な診断が下った
術後の結果が正念場となる
宣告を拒否したい
生命力に望みを託そう
あえて平静を保つ
大丈夫だと言い聞かせる
手術は成功すると祈った
手術は成功に思えた
退院後血栓が飛んだ
脳梗塞を発症し失語症を併発した
札幌市内に転院した
言葉で伝えきれぬストレスに見舞われた
縫合した箇所から便が漏れ人工肛門を付けた
言語のリハビリにも励んだ
正月父を自宅で看護した
穏やかな表情で病院に戻った
数ヶ月後不安で眠れなかった
別れが現実味を増した
時間はさらに縮まる
嗚咽をもらし落涙する
容赦ない現実に心を折る
時間は猶予なく過ぎてゆく
1年半の闘病を静かに終えた
〔2026年2月7日書き下ろし。家族の病気ほど切なさが深まる。大腸癌を手術した父もまた最期まで闘う姿を見せた〕