仕合わせ噛みしめて
老いてこそ仕合わせの意味を知る
平穏な暮らしに訪れる陽だまり
静かに時を刻む季節の移ろい
そして春をまた迎える喜び
老いなければ仕合わせの深さを味わえぬ
苦楽をともにした夫婦のきずな
当たり前にあった暮らし方の変化
そして柔らかく照り返す春の陽射し
老いてゆく仕合わせも感受する
体力と機能の低下をゆっくり自覚
食欲と知欲の減少も抗わず容認
そして大丈夫と伝える春の精気
老いる仕合わせはとも在ることを祝す
健やかであることが祈りとなる日常
痛みを気遣うことが尊厳となる慈愛
そして無事を確かめ合う春のぬくもり
老いてこそ仕合わせを噛みしめる
涙することも笑顔で返す娘の優しさ
苦労を感受する互いの心遣い
そしてまた春を家族で祝う父のバースディ
〔2026年3月3日書き下ろし。恩師の86歳の祝詩〕