宇宙とピンボケ
宇宙は無秩序へと誘う
解明されぬ謎めいた事象
人は惑わされおののく
鮮明にならぬ因果
人は幻想の中に沈む
究明されぬ不思議な現象
人は宇宙の孤児となる
焦点の合わないカメラ
いつもピンボケの写真だった
焦点を合わせられないわたし
揺れているような写真となった
焦点を合わせようとしないカメラ
焦点を合わせようのないわたし
宇宙の様相はピンボケこそ真理だった
砂塵に塗(まみ)れて無秩序はある
風紋は宇宙からのメッセージ
彷徨(さまよ)うしかない旅人となる
灼熱は宇宙からのギフト
幻覚の風景で漂(ただよ)う旅人になる
生死は宇宙からの奇蹟
一瞬の光芒に憧れる旅人を演ずる
焦点の合わない一眼レフ
砂に埋もれ遺棄される
焦点が合わないわたし
夜空に静かにとけこむ
焦点は合わずとも構わなかった
宇宙の無秩序さに身を委ねる
カメラを棄てた旅人は歩き続ける
焦点の定まらない目的地をめざす
宇宙は無秩序の中で沈黙し凝視する
〔2026年6月12日書き下ろし。無秩序な宇宙で人はピンボケで命を保持するのか〕